自分の死後に親族間でのトラブルを避けたい場合はもちろん、認知症の妻や障害のある子どもの生活を保障するためなど、家族信託を行っておきたいと思う方も多いでしょう。
今回は、家族信託の手続きの流れや費用についてご紹介します。
家族信託の手続きの流れ① 事前準備
実際に家族信託の契約を交わす前に、家族信託を行う目的と契約内容についてしっかり話し合って下さい。
家族信託には財産を持っている委託者から、財産を受け取る受託者のほか、実際にその財産から利益を受ける受益者がいます。
たとえば、認知症の妻が自分の死後に財産管理を行えない場合には、信頼のおける第三者が受託者となり、財産を妻のために管理する場合などです。
そして目的に合わせて、契約内容を決めます。
委託者・受託者・受益者、信託財産の内容、信託期間や残余財産の帰属先を明確にします。
その際は、遺言書や任意後見人などほかの法制度を利用して、財産を管理する方法も合わせて検討してみましょう。
この辺りで専門家に依頼をし、具体的な話し合いを進めていくと、手続きがスムーズに行えます。
家族信託の手続きの流れ② 手続き
契約内容が決まったら、その内容を文章化し、信託契約書を作成します。
この契約書の条文一つ一つが契約そのものに関わるものですので、きちんと内容を確認しましょう。
なお、信託契約書は必ずしも公正証書にしなければならないわけではありません。
しかし公正証書にすると、公証人が契約者の意思確認をして契約内容に間違いもなくなりますし、後からトラブルになりにくいです。
また、万が一信託契約書を紛失しても再発行が可能だったり、金融機関で信託用の口座作成がスムーズに行えるなどのメリットもあります。
信託財産が不動産である場合は、契約後に不動産所在地の法務局へ行き、名義の変更手続きを行います。
受託者は自分の財産と信託財産を分けて管理する義務があるため、信託用の口座が必要になります。
信託専用の口座開設をしてもらえない場合には、受託者の名義で口座を開設し、信託契約書にその口座番号を信託専用口座として記載します。
家族信託の手続きの流れ③ 費用
信託財産の種類や内容によって費用は異なりますが、大体の目安は下記の通りです。
家族信託のコンサルティングを行ってもらった場合、コンサル料として信託財産の評価額の0.5%~1%を支払います。
契約書の作成や公正証書化へのサポート費は、コンサル料に含まれる場合と別途請求の場合がありますが、目安として10万円~20万円程度になります。
公正証書化するなら、公証人に3万円~5万円程度の手数料を支払います。
そして不動産信託の場合、司法書士への登記報酬がかかります。
費用は固定資産税の評価額や不動産の数によって異なりますが、5,000万円以下の物件であれば10万円程度になります。
登録免許税も同じく、固定資産税の評価額や不動産の数によって異なりますが、土地は評価額の0.3%、建物は0.4%の税率になります。
まとめ
財産分与にはいくつかの方法があり、家族信託はその一つです。
誰に何を残したいのか、どのような方法を利用するのが得なのか、早めに検討しておくおことが大切です。
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